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ブルックナー:交響曲第一番ハ短調

(ブログのメモをまとめたもの)

1,大ざっぱな感想

2,ディスクの試聴記録
朝比奈
アバド
サヴァリッシュ
スイトナー
スクロヴァチェフスキー
ティントナー
バレンボイム
ヨッフム
ロジェストヴェンスキー

3,ウィーン稿について


大ざっぱな感想

2005/5/29
まずはリンツ稿(ハース版&ノーヴァク版)でいろいろ聴いてみた。

朝比奈/大フィル(キャニオン盤)
全体の雰囲気は響きに浸ることが出来て気持ち良く魅力的。だけど、じっくり聴くとアンサンブルも怪しく、複雑なリズムの面白さなどは楽しめない。
最も気になるのは、第3楽章トリオでホルンが半音低い音を吹くところだ。気持ち悪い。

朝比奈/大フィル(ジャンジャン盤)
オケがヘタ過ぎ。こんなにヘタだったかなぁ・・・。大事なジャンジャン盤なのに・・・。イメージが壊れるから聴かないほうが良いかもしれない。
にしても、ホルンの音色は酷すぎ。オモチャ?

アバド/ウィーンフィル
引き締まっていて元気がイイ! さらに弦の強さを前面に出してくれれば良かったのにな。

サヴァリッシュ/バイエルン
なかなか素晴らしい。しっかり丁寧にまとめあげたって感じ。ヴァイオリン対向配置ってのも良い響きを作りだすのに貢献しているかもしれない。
予想外に良かった。

ヨッフム/ベルリンフィル
悪くないけど弦の強さを求めちゃうな。
第1楽章終結のラッパは猛烈なアッチェレランドのためトリプルタンギングで対応しているのだが、それがトリプルタンギングだということが分かってしまい興醒め。

ヨッフム/ドレスデン
素晴らしい! 最高!!
最も優れた演奏といえそう。
第1楽章第2主題のディアローグも、第2楽章第一部後半の厄介なヴィオラの五連符も、けっこう聴かせる。


2005/6/16

●その他の演奏
スクロヴァチェフスキー指揮ミネソタ管弦楽団。
アバド指揮ヴィーンフィルのデッカ盤でないほう。
ティントナー指揮スコットランド王立管。
などをざっと聴いた。

ティントナーは初演の時に近い楽譜でのリンツ稿ということだからともかくとして、ミスターSやアバドもずいぶん楽譜をいじった演奏みたいだ。

それにしてもアバドはこの「第一」が好きに違いない。デッカ盤もそうだったがこれもその気持ちが伝わるような、覇気のある演奏。

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ディスクの試聴記録



2005/6/21
ティントナー」 
これはキャラガンが、初演時はきっとこうだったろうと編集した「初演時リンツ稿」による演奏。

ノーヴァクのリンツ稿と比べると第2,3楽章の違いは微々たるものだが、第1,4楽章の違いはけっこうある。特に第4楽章はかなりの違いだ。第1楽章は数小節少ないが第4楽章は大分多い。
ああ、これらを整理して削り込んでいったのかなあ、なんて思いが・・・。

ティントナーの演奏は、なかなか聞き応えのある美しい演奏だ。
遅めの堂々としたテンポによりながらも、瑞々しい新鮮さを保った名演。弦の弱さが感じられるとはいえ強音部の突き抜けるような迫力と、弱音部の繊細な情感が心に沁みる。

第1楽章・再現前などヴァイオリン両翼配置が見事に生かされている。
1小節短い終結はクレッシェンドによる強力な一撃により物足りなさを全く感じさせない。

第4楽章の違いで最も印象に残るのは一番最後ラッパが無いことだ。
第1主題のリズムを刻み込むラッパが無くティンパニだけが素朴な迫力で轟く。
もう一ヶ所は、「第五」に似た部分(ノーヴァクの208)が始まる直前だ。
ヴァイオリンがややヒステリックに叫ぶ。

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2005/6/19
バレンボイム
シカゴとの演奏。
酔っぱらって聴いたのであまり詳しくは覚えていないが、第1楽章の小終止部でホルンに木管のフレーズを吹かせていたような・・・。

また、スケルツォ・30小節目で音が濁る。ってゆーか、楽譜が違うのか?
ホルンが1小節はやく“C”を吹いているような・・・。

演奏はなかなか良かった。
「第一」は他のブルックナーの交響曲に比べて、いろいろな表現方法が許されるような気がする。
いわゆるロマン派風な解釈もいいのでは。
フルトヴェングラーが指揮したら名演になったかも、なんて考えちゃう。

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2005/6/18
スクロヴァチェフスキー」 
スクロヴァチェフスキー指揮ミネソタ管弦楽団による1991年5月24日のライヴ録音を聞いた。

アンサンブルや音程に怪しいところがあるが金管の強奏にマスキングされない弦中心の響きが流石だ。
各パートが弱音部でもしっかりものを言うところが音楽にコクを与える。しかし、やや音色が単調になっているところが惜しい。最弱音が無いからか・・・。

第1楽章・小終止部のティンパニは74と76にアクセントをつける。アバドのDG盤と同じだ。弦の六連符のスラーを取る部分があり、これはなかなか良い。

第2楽章では特に変わったことはしていないようだが、ヴィオラとチェロがものを言う味の濃い演奏。

第3楽章・コーダではやはりアバド盤と同じところにティンパニがアクセントをつける。そういう楽譜があるのかな?
このティンパニはスケルツォ再現で1小節はやく出てしまう(120)が、次をうまくごまかす。

第4楽章のティンパニの変更は凄い。
まずは《E》134小節からのトレモロを8分音符で叩いているんじゃなかろうか! 邪道といえば邪道だが、この暴走する機関車のような邁進力溢れる音楽にはピッタリといえる。
そして最後、392〜393では木管と同じ三連符のリズムにかえて終結が強調される。これも悪くない。

あと、363小節ではラッパがEsでなくFを強奏するが、これは単なるミスかな。

2005/7/8〜7/9
スクロヴァチェフスキーその2」
1995年6月録音というのを壁男さんから頂いた。

終楽章だけ聴いてみたら91年盤とはずいぶん違うことをやっていた。

展開部のばく進機関車部分(134から)の8分音符にしていたティンパニは楽譜通りだ。
236,237のファゴットにはホルンを重ねているのだろうか。
365からはトランペットにオーボエパートを吹かせている。
最後、392から三連符にしていたティンパニも楽譜通りだ。

演奏の感じは整理された弦中心の響が良いけれど、こじんまりとしてしまいスケールが小さいのが難点。この辺はバランスが難しいだろうな。


第3楽章・トリオの後半部分、その入りの部分はタイで繋がったチェロの上ヴァイオリンのスタッカートを呼びだすべくヴィオラが拍の頭からでるのだが、「p」ながらアクセントがついている。

これが新鮮に生きていてビックリした。
スクロヴァの小技が生きた部分だ。

そして第2楽章は室内楽的な透明感があり、スケールの小ささが欠点にならない名演だ。
後期の緩徐楽章ほどに弦楽合奏の厚い豊饒な響を必要としない曲というせいもあろう。

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2005/5/30
アバド」  
●DECCA 433 337-2
ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調
ブルックナー:交響曲第1番ハ短調
アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

元気なアバドの「第一」はウィーンフィルの力がプラスになって、濃密に圧縮されたような演奏だ。一気呵成に聴けるなかなかの名演。
響きがダンゴにならないのがまず良いし、金管に負けない弦の強さが第一の魅力になっている。

ただし、録音は明瞭で分離が良いのだが変なところもけっこうある。
まずは左右の分離が良すぎじゃなかろうか。特にチェロ、バスがあまりにも右から聞こえすぎ!
金管も左からボーン、ラッパ、ホルンというふうに分かれている。それは良いとして第1楽章終結、ラッパの六連符がフェルマータ《P》の前後で違う位置から聞こえてくるのが気持ち悪い。

またアダージョでは最後の盛り上がり部分(154,155)のチェロにホルンを重ねているように聞こえるがどうなんだろう。

スケルツォでは後半の繰り返し時に休符が1拍足りないのでずっこけてしまう。編集ミスか?

フィナーレ展開部の中ほど、「第五」を彷彿とさせる部分《G》の前の同じ音の繰り返しが1拍足りない!
な〜にやってんだか)*o*(

2005/6/17
アバドその2」  
ヴィーン稿にいこうと思ったけど、まだだ。
興味深い演奏と“版”があるからだ。

とりあえずは2種類めのアバド/ヴィーンフィル盤を聴く。
基本的にはデッカ盤と同じだ。
アバドはこの曲を完全に自分のものとしているのだろう。よくも悪くも曖昧さの無いところが素晴らしい。
感じきったチェロやバランスを壊すことの無い金管の強奏、そして内声まで充分に生かした融合させない響きの創造はなかなか見事だ。
ブルックナーにしてはスケールが小さい? 迫力不足だ? だってそういう曲なんだもん(^^!

旧盤との違いはいくつかある。
●第1楽章:小終止部のティンパニ(74、76)にアクセントがつけられる。
そういえば旧盤のラッパ(86)はロジェ弁と同じようにリズムを間違えていたっけ。
再現部で低弦が第1主題を奏するところの木管の4分音符は軟弱過ぎだ。
●第2楽章:最後の盛り上がり部分で(154〜)やはりチェロにホルンを重ねているのはヴィーン稿からの引用か。
●第3楽章:73の弦のアクセントは74と75にもある。これもヴィーン稿からの引用か。そしてコーダのティンパニ、トロンボーンが駆け上がる前(139,143)にアクセントをつけている。
●第4楽章:ほぼ楽譜どおりで素晴らしい。

第1楽章再現部手前や、第4楽章第1主題部のピアニッシモに落ちた部分(9)からなど旧盤も良かったが如何にも強さがありすぎた。新盤は弱音の中で見事に生きているところが素晴らしい。
また、第4楽章では第2主題の展開の後半で弦がトリルのリズムを延々と掛け合うところ(187〜)も実に意味深く処理されている。

新盤も旧盤もそれぞれ一長一短だが、素敵な演奏。
旧盤は録音の不自然さと編集ミスによる欠落が痛い。

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2005/6/4
ロジェストヴェンスキー
ソビエト国立文化省交響楽団とロジェストヴェンスキーによる「第一」のLPを約20年ぶりに取り出した。「リンツ稿」「ウィーン稿」があるが、まずはリンツ稿。

ずいぶん変わった演奏だ。両方の稿で演奏しているのだから、よほど楽譜に忠実な演奏かと思ったがけっこう違うみたいだ。

全体的には落ち着いたテンポでじっくりやっているのだが、金管の強奏が凄い。でもバカうま。さらにその金管に負けない弦が素晴らしい。強さと十分な表現力を持っている。ブルックナーには必要ないくらいの表情だが、このブルックナーらしくないブルックナーの交響曲には悪くないかもしれない。

第1楽章は小終止部の《C》からテンポを半分にして音価を倍にし、動きが無いように見せてスケールだけは大きくするところに、まず「エ!?」。そして、最後でフェルマータを延ばさない!
第2楽章は置いといて、第3楽章は冒頭音型をスラー無しで弾くことにけっこう違和感がある。21小節からはmfにならない。
第4楽章はいろいろやり過ぎ。後で楽譜とにらめっこしながら聴き直してみようと思うけど、終結のティンパニなんか一々クレッシェンドしやがる)*o*(

2005/6/15
ロジェストヴェンスキー」 
両方の稿で録音しているロジェ弁だが、演奏はリンツ稿の方が良い。
稿の違いよりも共感度の違いが演奏に表れている感じだ。
リンツ稿では感じきった音色が実に魅力的だが、ヴィーン稿はただ楽譜を音にしているだけという感じ。
録音場所が違うのか、ヴィーン稿には残響もありツヤもあるが、リンツ稿の録音のような人肌の魅力がない。

リンツ稿で、第1楽章・小終止部86小節のラッパはリズムを間違えている。そこはリズムが倍に伸びるのに、前と同じままだ。
けっこうマヌケ)*o*(

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2005/6/8
スイトナー」 
エテルナというレーベルのLP。オケはシュターツカペレ・ベルリン。

スケールが大きいというわけではないが、堂々とした演奏。つややかではないがコクがあり滋味深い音色はスイトナーらしいと言えるのだろう。
じっくりと聴ける名演。

変わったことといえば、第1楽章最後のフェルマータ《P》をロジェ弁と同じように切ってしまう。

それと、フィナーレ・展開部後半233小節のリタルダンド部分で、なんとディミヌエンドするのだ!
ここのウィーン稿はラッパを加えて強力にバシッと決めているので正反対の効果になる。
イヤイヤ、これにはけっこう参りました。234の第2ヴァイオリンが生きるのも良いけど、音楽を知り尽くした人の斬新な解釈といえよう!

ここのリンツ稿はリタルダンドも今一だし、なんか中途半端な感じがして断然ウィーン稿が好きだったが、この解釈は素敵だ。

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2005/6/2
朝比奈」 
ヨッフムのLPを聴いて朝比奈/日フィルのLPを思いだした。これは会場で聴いたものだ。20年ぶりくらいに取り出すLP。

なかなかイイ感じで始まるが20小節を過ぎるとアンサンブルが怪しくなり、26からのフルートは「あぁ、やっちゃったか!」って感じ。

ここは正確な4分の4のリズムに第1ヴァイオリンの六連符が流れるように挿入され、それを倍の長さでフルートが受け継ぐという如何にもブルックナーらしい、時間の伸び縮みを感じさせる不思議な部分だ。

先行き不安だったが、大きなミスはそこだけ。第2主題の対話も美しく、結尾主題《C》からの迫力ある遠心的な響きはまさに朝比奈の魅力全開だ。

第2楽章も美しい。もちろん表面的に磨かれている響きでなく、美しいと感じさせる演奏なのだ。
この楽章の冒頭はシベリウスの4番と雰囲気が似ている。淀んで流れない音の塊が続き、19小節でやっと口づさむことのできるフレーズが現れホッとする。その後はどんどん明快な音楽になってくわけだが、《A》からのヴィオラ(再現の時は第2ヴァイオリン)、の厄介な五連符もけっこうしっかり弾かれているところが良い。

第3楽章は如何にも朝比奈らしい切れ味の悪い始まりだが、これはこれで悪くない。ここは「第一」じゃなく朝比奈を聴く部分だ。トリオのホルンも楽譜通りだから安心して聴ける。
キャニオン盤と違って110小節アウフタクトからのヴィオラ以下もmfにしている。

第4楽章もなかなか素晴らしい出来だ。
弱音部も強音部も余裕を持った力強い響きのため、生命力を実感できる。
朝比奈の「第一」のベストはこれだ!

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2005/6/1
ヨッフム」 
ベルリン盤とドレスデン盤。

ドレスデン盤は昔中古で買ったLPの全集盤しか持っていないため、滅多に取り出すことがない。LP自体が面倒くさいのに、全集盤は箱入りなためいっそう億劫になる。

その「面倒」と「億劫」に封印をして聴いてみたら、ブラヴォー!!
他を圧倒するほどの素晴らしい出来だ。
このブルックナーらしさがちりばめられた、実はブルックナーらしくない交響曲が見事に再現されている。
チャイコフスキーや初期のシベリウスを彷彿とさせるような楽想が、荒々しくも初々しく、しかもかなりの大胆さをもって繰り広げられて行く。

このじゃじゃ馬的な面を持つ「第一」をその良さを殺ぐことなく、深い愛情と理解をもって演奏しているのがこのドレスデン盤。じゃじゃ馬馴らし的名演奏だ。
このドレスデン盤があればベルリン盤は要らないじゃん。

その素晴らしいドレスデン盤で唯一気に入らないところはフィナーレ、終結手前部分にある。
一度ピアニッシモに落ちて1拍目と3拍目にアクセントをつけた弦の細かい動きの上に木管の第1主題が乗る部分(338〜)。
その弦のアクセントが弱いのだ。やすのぶさん曰く《ダブルユニゾンの萌芽》の部分なのに、あれではじゃじゃ馬がならされすぎて駄馬になってしまった)*o*(

なお、ヨッフムは第3楽章、スケルツォの最後の方の弦(第一ヴァイオリンだけかも)がノーヴァク版とは違う。126小節を127小節と同じ音型を弾かせている。
朝比奈もそうみたい(弦が下手で良く分からない)だからハース版なのかな?

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2005/5/31
サヴァリッシュ
ORFEO C145 851A
サヴァリッシュ指揮
バイエルン国立管弦楽団

アバドの演奏はまるでやんちゃ坊主がほんの少しの制御のもと暴れまくるような感じだった(ヘンな録音も含めて)けど、サヴァリッシュは大人だ。
これは悪い意味でなく、パワフルではあっても節度を持った美しさを失わない演奏だってこと。

第3楽章トリオ冒頭のト長調の和音なんか見事にブレンドされた上で、豊かな表情が付けられる。
内声も効いているから随所で対話を楽しむことも可能だ。

数少ない気に入らない部分の一つは第1楽章展開部にある。
小終止部の細かい32分音符がフルートに受け継がれたとき、そのリズムに於て32分休符がなくなって3連符(半拍に)になってしまっていることだ。
これでは滑らかに繋がってしまい、静けさと緊張感を湛えた不思議な雰囲気が激減だ。

ところでアバドのディスクで1拍足りないと言った第4楽章は、ヴァイオリン・ヴィオラと、チェロ・バスで2拍1セットだから、正しく言うと2拍足りないということになる。
なんでこんなことが起きるんだか)*o*(

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ウィーン稿

2005/6/13〜6/14
ウィーン稿〜第1楽章」 
約3週間、身体中にリンツ稿を染み込ませた。
そしていよいよ「ヴィーン稿」の封印を解いた。

うおぉ〜〜〜(^^!
これは、もう別の曲と呼びたい。
曲頭のバスの動きからして違うし、時間の流れが変化して遅くなるようなフルートの六連符も1回だ。

そして小終止部は全く違うと言いたいくらい。
特に終結主題は意味深くなっているのだが、注目はそこにはいる前のホルンとトランペットのリズムの掛け合いだ。
リンツ稿での不規則感が整理されてしまい面白みが減っている。

全体的に素朴さが減って重厚な感じに聞こえるのは、やはり後年の改作だからなのだろう。

ぼくが所有しているディスクはヴァントシャイーロジェストヴェンスキーの3種。

最も魅力的なのはヴァントだ。ヴァランス操作し放題。

でも、スコアの指示に近いのはシャイーかな。
ロジェストヴェンスキーは聴きどころがあるが、耳をつんざくラッパが痛い。

ヴィーン稿では小終止部・終結主題で登場する32分音符の動きがリンツ稿のように音階的な素直さが無く、展開部のフルート部分でそれが目立つ。そして、その時に刻まれる8分音符はホルンに変更されている。

再現部に入って無表情が魅力だったフルート、オーボエの4分音符の連続《T》は、途中で途切れることによって表情がでているし、低弦の第1主題にヴィオラが加わって、一筋縄ではいかなくなった。

これは、もう、リンツ稿と比較しないほうがいいような気もしてくる。
リンツ稿の素朴でやや棘のある新鮮さが後退し、別の魅力が加えられている感じなのだ。

2005/6/24
ヴィーン稿」  
このヴィーン稿はアダージョの終結を筆頭にところどころで「第八」アダージョの初稿や1.5稿の匂いがする。

ロジェストヴェンスキーはアダージョの五連符を刻みというか32分音符にしているところがあるようだ。
主部では41・42小節からのヴィオラ、主部再現では153・154小節の第2ヴァイオリンだ。

そんなことをやるならもっと前からしっかり五連符を弾かせて欲しい。と言うか、最初からしっかり五連符を弾かせていればそのように変更してもゆるすのにって感じ)*o*(


2005/6/29
ヴィーン稿・メトリーク」 
この交響曲第一番のリンツ稿のスケルツォは歪(いびつ)なメトリークになっていて、それも魅力の一つだった。

どういうことかといえば、分かり易いのは冒頭だ。
強烈な8分音符の連続で始まる乱暴なフレーズは念を押してから落ち着いき、4分音符のリズムに乗って第1主題が出てくる。

この落ち着くまでがリンツ稿では7小節なのが面白いわけだ。もちろんヴィーン稿は8小節ある。
スケルツォのような速いテンポの曲は1小節3拍をまとめて1拍と考えると分かり易い。

ヴィーン稿では4小節1単位と考えれば4拍子で指揮できるが、リンツ稿はそうはいかないってこと。

ところで、ヴィーン稿のハース版とブロシェ版の違いを一つ発見した。
第4楽章・展開部、機関車が驀進するような部分の終わり(148小節3拍め)のヴァイオリンとヴィオラだ。
ブロシェ版ではそれまでの16分音符から8分音符に変わるが、ハース版はそのまま16分音符なのではなかろうか?
ヴァントはそのように演奏している。

それにしてもヴァントはかなりのバランス操作を施し、全体の強弱にも小技を使っている。にもかかわらず豪快な演奏に聞こえるところが素晴らしい!

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