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笑えるバルビローリのブルックナー

●交響曲第8番ハ短調
ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団
(1970年5月20のライヴ録音 CRCB-6100)

 バルビローリ・ファンには悪いが、笑える演奏だ。
 間違ったことを一生懸命まじめにやっている可笑しさ、天然ボケの人の可笑しさ。ぼくにとってはそういう演奏に聞える。ほとんど曲の楽しさは味わえないけど、ツッコミどころは満載。でも、演奏の質自体は決して悪くなくツッコムのに気が引けるくらい真面目なことは分かる。

 第1楽章は最初の低弦のテーマからやたら大げさな表情付けで、物々しくテンポも遅い。しかし、だんだんはやくなったテンポは再現部でも元には戻らない。というか、何で最初だけあんなに遅いの?
 テーマの大げさな表情付けも、2回目の終わり部分(8小節目の終わり)でディミヌエンドするところや、第2主題のヴァイオリンのピチカート部分(60,62小節)のテンポを端折るところに、先の軟弱さを予感させる。
 フォルティッシモの響きなんかダンゴにならず決して悪くはないのに、オケが下手だなあって臭いもプンプンする。ホルンが頑張ってるのに、ラッパが音を外すしなぁ。
 ってなワケで、第1楽章はチョイ笑い。
 271小節からのラッパのリズムは「sehr leise」は全く無視され強い。

 第2楽章はこらえ切れずに吹きだしてしまった。
 イヤイヤ、始まりはなかなか良いテンポだ。
 しかし、メゾフォルテとフォルテは区別しないのか。まあ、そんなのは些細なことだ。強音になると、やや乱暴だが弦のトレモロも頑張り、それなりの響きが聞ける。
 展開部に入ると初版でピチカートで奏されるチェロの下降音型が来る。これを短めの音で弾くのは理に適っているが、その後トレモロが終わったヴァイオリンの8分音符(91小節から)をスタッカートで弾くのには参りました。1回目は「え、今の何?」で通りすぎたのだが、ダカーポしてからはこらえ切れずに噴き出してしまった
 まるで、イタヅラっ子が真面目面を装って(目だけはイタヅラっ子のまま)カッコつけて行進するみたい・・・。

 トリオ冒頭のヴァイオリンは細かいヴィヴラートが効き“泣き”が入っていてヘンだ。ここはそういう部分ではないでしょう。一気に俗っぽくなっちゃう。まさかこれをバルビローリ節なんて言うんじゃなかろうな。
 あれれ、ハープは右から聞える。

 終結はほんの少し遅くするのは我慢するとして、やや引摺る感じでヘニャッと終わる。バルビローリらしい優しさと言えなくもないが「しっかりせんかい!」と言いたくもなる。

 第3楽章・アダージョは遅くもなく早くもない良いテンポだがリズムがややだらしない。それに乗っかる第1ヴァイオリンは、ピアノやピアニッシモを無視した実に暖かい眼差しの表情付けでひたすら歌う。しかし、響きにブルックナーらしいヒンヤリしとした透明感が皆無だ。
 スケールの小さな、「浄福」とはほど遠い人間界のドラマみたい。
 18、36小節のアウフタクトはつながってしまう。おっと、副次部前の第2ホルンはハープが終わる前に動き出してしまうじゃない。ハープがとろいのか?

 副次部はテーマが低弦に移るせいか、メロディばかりでないバランスを獲得しているのが買いだ。
 主題再現の100小節で上昇するヴァイオリンをディミヌエンドするのは、美しい。
 副次部再現前のヴァイオリン《I》がネットリ纏わり付いたり、熾烈な《M》の入りなどブルックナーというよりマーラーに似合いそうな表現だ。副次部再現前といえば、ハース版を使いながらヴィオラとチェロのトレモロをピアノにしているのがいただけない。しっかりフォルテで弾き切れい!
 主題三現直前のヴァイオリン(169小節〜)には、ほんの少しポルタメントがかかり甘ったるい。悪くはないが、独特の寂しさは感じられなくなってしまった。

 主題三現は速いテンポだ。
 ハース版特有の「谷間の百合」は「谷間のハイビスカス」みたい。その後、GPに向かってはずいぶん加速する(Tの前)。これはちょっとやり過ぎでしょう。
 クライマックス後の弦(Wの前)はスコア通りのボウイングで音はやや短めだがしっかりmarkigなのが良い! アウフタクトの音もしっかり切って欲しかった!! 惜しい。でも、響きは今一なんだよな。その後の“泣き”も曲にそぐわない。

 コーダのホルンの解釈は問題ありだ。282、284小節(ノーヴァク版の272、274小節)の前で一々切るのも煩わしいし、16分音符で駆け上がり(287小節、ノーヴァク版の277小節)次の音に入るときに見栄(ミエ)を切るのも頗るブルックナーらしくない。ミュージカルのわざとらしさというか、下手な役者の熱演というか・・・。笑える。

 フィナーレもいろいろやってるぞ。
 まずはティンパニ。《А》の前、ディミヌエンドしたあと何とクレッシェンドしてリズム強打に入る!
 《C》の前では弦の前打音が付点のリズムになってしまう! ああ、気持ち悪い。ここは笑えない(-_-;)
 第3主題は悪くないが、ヴァントが思いっきり心を込める《L》からはあっさりしている。今まであんなに無駄に表情付けしてきたのにねぇ・・・。あらら、「死の行進」で走り出しちゃった。ホルンは頑張ってるんだけどな。
 展開部直前のフルートによる清々しい第1主題(《R》の7小節目)では「アクセント+クレッシェンド」を「fp(フォルテピアノ)」にして新鮮な効果を上げている。これはなかなか良い。

 何にしても悪い演奏ではないがブルックナーには似合わない表現のオンパレードというだけでなく、響き自体が濁った印象なのが頂けない。汚い響きというわけではないのだが・・・。ピアノやピアニッシモを強めに鳴らすのは良いとして、それが騒がしく聞こえるのが問題なのだ。音楽の作りが小さく、息が浅い。
 第3主題再現など、ゆったり始まるのは良いのだがあっと言うまに加速され、第1楽章・第1主題が破滅的に最強奏される恐ろしい部分《Ss》も、何事もなかったかのように通りすぎる。情けなくなるくらいで、ここは全然笑えない。

 そして、とどめは終結だ。
 リタルダントし、最後2小節のティンパニのトレモロを2分音符にして2拍目は一発叩かせ、「ミレド」の部分を他と同じリズムで「ドドド」と叩かせる!!
 これは、笑える。大爆笑だ。イタオペみたいというか、狂言回しが「〜〜で・し・た。」と言って芝居を終わりにするような感じで、全くブルックナーとは正反対の解釈といえよう!!!

 あ〜ぁ、楽しかった(@_@)

 以上、強弱の変更はあるもののハース版。

2005年02月28日


 バルビローリブルックナー交響曲第3番もある。<BBC LEGENDS4164-2>というCDで、1964年12月18日のライヴ。オケはハレ管弦楽団

 こちらは普通の演奏だ。笑える部分は1ヶ所しかない。ただ、あまりに音が悪い。網戸越しの景色みたいと言ったら良いか、砂が混じった御飯を噛んだと言ったら良いか・・・。

 使用楽譜はいわゆる「改訂版」のようだ。
 第2楽章、アンダンテ4分の3のあとミステリオーソの4分音符が、だらしなくつながるのが最も気に入らないところだった。フィナーレの第2主題はバルビローリらしいのかもしれないが、最初だけ異常に歌うのがおかしい。
 また、オケは相変わらず下手でアンサンブルがずっと怪しい感じなのだが、フィナーレ152小節からのヴァイオリンが落ちまくっていて、ちょっと笑える。ホルンはちゃんと吹いてるんだし、バルビさん、ちゃんと指示出してやれよ。・・・って、もし出してたのに落ちたんなら、5小節休みの間に何があったんだろう。コンマスが寝ちゃったなんてことはなかろうにネ(^_^;)

2005年03月08日

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