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交響曲第6番
第1楽章・第2楽章第3楽章第4楽章

1999年2月


 

第1楽章

 ブルックナーの第5交響曲のフィナーレのテーマを変形させたような主要主題英雄のテーマ』と、そのテーマから派生した、救い・憧れのような主題『愛のテーマアルマのテーマといわれている)を中心に、自作・多作の引用と変形(パロディ)で構成されている。

 ティンパニの単純だが印象的なリズムに乗って、この曲の象徴ともいえるイ長調の三和音からイ短調に変わる部分(57小節)がくる。明から暗へ。そして角笛交響曲(2番や3番)を思い起こさせる部分を経過すると、鮮やかに愛のテーマが出てくる(76小節)が、ここはマーラーの唐突さがフレッシュな感性によって実に美しく成功した部分といえよう!

 提示部が繰り返された後、展開部はパロディの連続だ。打楽器の真摯なリズムの上に木管のトリルとホルンのゲシュトプフ、そしてシロフォンが加わるだけでも随分な響きだが、突然現れる真面目腐ったトロンボーン(172小節)には吹き出さざるを得ない。

 その後、カウベル(Herdenglocken)とチェレスタの登場で牧歌的・神秘的な角笛交響曲の雰囲気になるが、カウベルの強さには注意が必要だ。いきなり、目の前にが出てくると驚くだろう。

 ヴァイオリンのトレモロとチェレスタによって、夕映えのような美しさを表出する部分(213小節、241小節)は、一瞬リヒャルト・シュトラウスがよぎる。

 その後は、2つの主要テーマが角笛交響曲の雰囲気をまじえつつ混沌としていく。このカオスが良くも悪くもマーラーということか。

 再現部(292小節〜)では、行進のリズムに分断され、英雄のテーマはすでにしっかり再現されることはない。

 コーダ(374小節〜)は、うす気味悪い行進で始まる。繰り返される低弦の動きは見る(聴く)も無残、グロテスクなブルックナーだ(390小節〜)。さらに、付点のリズムによる鋭く甲高い響きは、ベルリオーズの幻想交響曲を彷彿とさせる(421小節〜)。トレモロのトライアングルにティンパニがどかどか鳴り金管が上昇するのは、自作の交響曲第5番・第2楽章の再現だ(444小節〜)。ホルン8本による愛のテーマに続く英雄のテーマ(466小節〜)は、明らかにブルックナーの第5交響曲風マーラーとなり、なんとか暗くならずに終わる。

 全曲の基礎になる楽章。
 この曲は、マーラーにしては造型がしっかりしているため交響曲第5番や第7番のような分裂癖は、それ程気にならない。しかし、無駄が多いのも事実。マーラー好きの、しかも『通』にはこたえられない名曲だろうが、そうでない人には飽きるかも。

超名演

名演

佳演

並演

●駄演

録音年代順に並べました

ノイマン指揮 ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団<1966> 23'12"
 基準になる演奏。少しテンポを落としたホルン8本による英雄のテーマは、なかなかの聴きもの。
バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団<1967> 21'12"
 遅いテンポとぬくもりのある響き。美しい部分、面白い部分も多いが・・・。牛近し。リピート無し。
クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団<1968> 21'03"
 颯爽としたテンポに自在なアゴーギクが光る。これは名人芸だ! 旧配置のオケの響きもイイ。
ショルティ指揮 シカゴ交響楽団<1970> 21'03"
 一切の贅肉を削ぎ落とした筋肉質の名演。繰り出されるボディー・ブローに快感まで覚える。
カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<1975,1977> 22'09"
 『愛のテーマ』は内声まで生きていて美しい。しかし、全体に響きが浅く「?」の箇所有り。
レークナー指揮 ベルリン放送管弦楽団<1981> 24'57"
 再現するものとしての音楽が、マーラーの熱病と見事にマッチした美演。
テンシュテット指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団<1983> 24'35"
 温もりのある音色と整理されていない響き。ヴァイオリンに美しい部分もあるが平凡。アンサンブルも今一つ。
シノーポリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団<1986> 25'08"
 スコアの隅々まで見渡せる音響と、感情に添ったアゴーギク。だが、今一つ感動に結びつかない。
バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 23'17"
 高カロリーで質量たっぷり。有機的だが清濁併せ呑んだような響き。直情的。
井上道義指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 23'30"
 清潔・健康なマーラー。曲の魅力だけで勝負。演奏者としての押しが今一つ弱い。
シャイー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団<1989> 25'29"
 暗い曲を明るい音色でスコアの隅々まで照らした名演。楽天家マーラーここに有り。
ヘンヒェン指揮 オランダ・フィルハーモニー管弦楽団<1991> 23'13"
 頑張ってはいるがオケの実力が・・・。マーラーの『美』も『醜』の浮き上がらない。牛間近だ。
ブーレーズ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1994> 23'06"
 指揮者のアポロ的なものと、ウィーン・フィルのディオニュソス的なものの歩み寄り。
ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団<1995> 22'35"
 脱力した美演。444小節からテンポが落ちるが、スケールは大きくならず黄昏のような美が増す。


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第2楽章
Scherzo

 第1楽章と同じく、A音の連打で始まるおふざけ楽章。『指輪』の大蛇・ファフナーの引用や、自作の交響曲第4番・第2楽章からのフレーズもある。

 主要主題に絡む、素早く駆け上がる木管のテンポを落として、媚を売るようなところ
(182小節〜)は、まるで娼婦のようだ。再度、娼婦が出てくると、オーボエとコールアングレによる『名歌手』のベックメッサーまで、一瞬現れる。

 要するに、内容的にはニヒルなエロ・グロ。
 ただし、マーラー独特のオーケストレーションの面白さいっぱいで、しかも短いのがいい。マーラーとしても、交響曲として古典のフォルムを保つためには必要だったことだろう。

 

超名演

名演

佳演

並演

●駄演

録音年代順に並べました

・ノイマン指揮 ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団<1966> 12'52"
 生きた弦主体の、くそ真面目なドイツ風って感じ。面白みはないが、好感は持てる。
バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団<1967> 13'50"
 老獪。読みが深い。オーケストレーションが見事に生きている。
・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団<1968> 11'42"
 速いテンポ。悪くはないが、やや真面目すぎる。
ショルティ指揮 シカゴ交響楽団<1970> 12'32"
 最新兵器搭載の、身の軽い重戦車。ティンパニのタイミングは見事。でも、やや単調。
・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<1975,1977> 13'16"
 うまいし面白い部分もあるが、この曲を演奏する基本的欲求が感じられない。5番、7番ホルンにミス有り。
レークナー指揮 ベルリン放送管弦楽団<1981> 11'56"
 試合巧者! 魑魅魍魎に天使も跳梁跋扈する。独自の解釈も生き、美しく多彩。スケルツォを第3楽章として演奏している。
テンシュテット指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団<1983> 13'02"
 カロリー満点の旧式重戦車。魑魅魍魎は跋扈するが無駄な響きも多い。
シノーポリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団<1986> 13'32"
 気持ちいいけど、ホルンはデカすぎ。娼婦の部分はグッド! 旧配置オケの響きが面白く生きる。
バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 14'16"
 エロチックでグロテスク、しかしニヒルが足りない。
井上道義指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 13'52"
 遅いテンポに必然性が感じられ、決して悪くはないが、やや平凡。
シャイー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団<1989> 13'17"
 見事なバランス。無駄な響きの無い繊細な美演。
ヘンヒェン指揮 オランダ・フィルハーモニー管弦楽団<1991> 12'55"
 ノッペリしていて、あまり面白くない。オケも今一、ヘタ!
ブーレーズ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1994> 12'19"
 冷静。グロテスクが足りない。
ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団<1995> 11'57"
 エロチック無しの美しい演奏。33小節にミュート付きトランペットの様な不明の音有り。


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第3楽章

 これまでの楽章と「Kindertotenlieder」、そして自作の交響曲第4番・第3楽章で表現した天上界の雰囲気を、うまくミックスさせた名曲。おふざけマーラー、自虐的マーラーはいない。やればできる!

 寂しくも懐かしくも美しい。人懐こい弦楽合奏に、望みを託すような憧れの牧歌的ホルン・木管が織りなす小パノラマ。

超名演

名演

佳演

並演

●駄演

録音年代順に並べました

・ノイマン指揮 ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団<1966> 14'33"
 基本的演奏? ポルタメントが無いのが寂しい。バルビローリとの違いは・・・?
バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団<1967> 15'45"
 オーソドックスな名演、と言っていいんじゃないでしょうか。牛1頭近い。
・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団<1968> 14'40"
 ホルン・ソロ部分(前半)のフレージングが興ざめ。旧配置オケの響きは生きている(特にVnのユニゾン)。
ショルティ指揮 シカゴ交響楽団<1970> 15'34"
 テンポ、各楽器のバランス、ハープの生かし方など完璧。でもね・・・。
・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<1975,1977> 17'03"
 いくら楽譜通りに美しくやっても、無理解だということはバレるものだ。騙されそうな部分はあるけどね。
レークナー指揮 ベルリン放送管弦楽団<1981> 14'51"
 咀嚼しきった解釈が、美しく紡がれていく。タメイキ!
テンシュテット指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団<1983> 17'20"
 整理されきっていない響きなのに、琴線に触れてくる。なんて人懐っこいヴァイオリン。
シノーポリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団<1986> 19'50"
 一音一音かみしめるような、デリケートで幻想的な美演。
バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 16'19"
 歌い込まれた名演だが、この曲独特の冷えた感触はなく、熱い。ルバートには後ろ髪を引かれる。
井上道義指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 15'55"
 失敗だ! 痩せた響きに、情感は皆無。どうしちゃったんでしょう。
シャイー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団<1989> 14'37"
 綺麗。憧憬的演奏。牛いっぱいで驚く。
ヘンヒェン指揮 オランダ・フィルハーモニー管弦楽団<1991> 17'38"
 ゆったりとしたテンポで良さそうだが、納豆にタマゴを入れ過ぎて粘りが無くなってしまった?
ブーレーズ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1994> 14'47"
 磨けばウィーン・フィルでもこんなに透明感が出るんだ! 牛の出る前のVnは背筋ゾクゾクもの。
ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団<1995> 15'42"
 しっとり冷ややかな美演。ホルンは恐ろしくうまい。G-Durになる前のフラジオレット(54,55小節)がなぜか濁る。


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第4楽章
Finale

 前3楽章までの音楽を象徴的に組み込み、英雄の旅から死までを表現したような大スペクタクル。自作の交響曲第2番『復活』からの引用(419小節〜)などもあり、興味深い。純音楽的にも、マーラーの個性が巧みな作曲技法の中に溶け込み、暗い乱痴気騒ぎにも無理にはしゃいだ感じがしないのがいい。

 ブルックナー・第8交響曲(114小節〜,132小節〜,660小節〜)や、第5交響曲(3回目の序奏部の前,504小節〜)の影響まで感じ取れるところが微笑ましい。
 あまりに大げさな部分もあるが、それはマーラーの魅力と表裏一体だから仕方ない。

超名演

名演

佳演

並演

●駄演

録音年代順に並べました

・ノイマン指揮 ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団<1966> 29'48"
 決して悪くはないが、格別に優れたところもない。弦の表現力は強い。ハンマーの音がヘン。
・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団<1967> 32'35"
 ムッ、おぬしやるな! 各パートに漲る力。しかし、鈍器で殴るようだ。切れ味は鈍い。
クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団<1968> 26'31"
 颯爽としたテンポで感傷を廃しているが、内に秘めたる感情の起伏と情熱は並ではない。
ショルティ指揮 シカゴ交響楽団<1970> 27'28"
 物凄い切れ味。技術的に理想的な演奏と言える。ゴメンナサイと謝りたくなる。泣く子も黙る。
・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<1975,1977> 30'00"
 オッと思わせる部分はあるが、無理解、無共感。第2主題の後のホルンはなんて無表情。展開部前のチェロがなぜフニャフニャ。etc.
レークナー指揮 ベルリン放送管弦楽団<1981> 30'28"
 レークナー独自の美学に則った、所謂マーラーっぽくない美麗な、唸らせる名演。
テンシュテット指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団<1983> 32'58"
 熱い表現力が、雑なオケの響きを超えた! 394小節でガクッとテンポを落す所は聴きもの。
シノーポリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団<1986> 34'25"
 音彩、強弱、テンポ変化、どれもうまい。情熱を伴った造型力もバッチリ。凄い演技力だが…。
バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 33'10"
 星の爆発と閃光。宇宙のカオスを覗き込むようなスケールの熱い名演。そして、復活しない死。
井上道義指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団<1988> 29'58"
痩せさらばえた英雄では、長旅は無理だった。響きが足りず、マーラー・サウンドにならない。
シャイー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団<1989> 31'00"
 常に余裕を持った響き。解釈は常識の範囲で、積極的。
ヘンヒェン指揮 オランダ・フィルハーモニー管弦楽団<1991> 28'53"
 オケがヘタ。聴くべきものはほとんど無い。時間の無駄。
ブーレーズ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団<1994> 29'10"
 見事な造形感覚と音響感覚。そして強くしなやかなウィーン・フィル。プロフェッショナルな演奏。
ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団<1995> 31'39"
 深い理解と熱い共感の美演。3回目の序奏部前でテンポを落す所は聴きもの。えっ!? 560小節でクラリネットが飛び出し、次落ちる。ハンマーずれて惜しい。ティンパニの追加もある。
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