朝比奈 隆
(1908-2001 日本)

…名演 …駄演 …奇演

161.JJ101〜102 Disques JeanJean Rec.1976年8月23日 ¥4,800
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
 
朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団 

    


161.JJ101〜102 Disques JeanJean Rec.1976年8月23日 ¥4,800
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
 
朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団 

 ジャンジャン。このLPを買うために下宿先の習志野から渋谷のジャンジャンまで行ったっけ。食費を削って貯めたお金で買った、思い出の奥底にず〜っとしまっておきたいLP。本当は演奏のことなんか何も言いたくない・・・。

 フレーズの中での「p」はあるが、素材の中には「pp」は勿論「p」もない。それゆえ響きを堪能できる。エネルギーに満ち溢れ、無限に向かって放射する大フィルの音たちは、ソロになると拙いがテュッティではその魅力が倍増する。笑っちゃうくらいヘタだけど、そのひたむきさに涙が出そうになる。喜怒哀楽的な感情表現とは違うことを理解した本当に献身的なブルックナーへのいちづな愛。
 当時の僕らはブルックナーを聴くことに、朝比奈と大フィルは演奏することに飢えていたのだ。
 ここには自分のイメージするブルックナートーンの原典・原石がある。

 スケルツォはダカーポしてからの88小節目、一度音量を落とすなんて技を使っている。
 アダージョは最初から本当に素晴らしい。うまくないのに素敵で美しい。『谷間の百合』を演奏しているのでハース版みたいだが、コーダをはじめ随所にノーヴァク版の匂いがしている。
 78小節のコントラバスをdim.して切る、135小節からのヴィオラとチェロのdim.、170小節からクラリネットの和音がある、245小節で駆け上がるトロンボーンが次の小節まで延ばす、コーダ直前262小節のバスの音が「Es」でなく「C」、などがノーヴァク版だ。前述の通りコーダはノーヴァク版。

 フィナーレもハース版のように聞えるが569、570小節の第2ヴァイオリンはノーヴァク版の音型を弾く。それと56小節のテナーテューバは“loco”にならない。

(2005年10月)

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