ウィルヘルム・フルトヴェングラー
(1886.1.25-1954.11.30 ドイツ)

…名演 …駄演 …奇演

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170.OC-7134-RC 日本コロムビア株式会社 フルトヴェングラーの芸術1300 1952年12月7日 ¥1,300
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

169.OC-7131〜2-BS 日本コロムビア株式会社 フルトヴェングラーの芸術1300 1953年5月31日録音 ¥2,600
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
 Sp:イルムガルト・ゼーヒリート Alt:ロゼッテ・アンダイ Te:アントン・デルモータ BsBr:パウル・シェフラー ウィーン・ジングアカデミー合唱団
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

137.PL-1011 フォンタナ 日本フォノグラム株式会社 1942年録音 ¥1,000
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
 Sp:ティルラ・ブリーム Alt:エリザベート・ヘンゲン Te:ペーター・アンデルス Bs:ルドルフ・ヴァツケ ブルーノ・キッテル合唱団
 フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

110.MZ-5122 ロンドン不滅の名盤シリーズ キングレコード株式会社 1951年10月29日録音 ¥1,200
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
シューマン:交響曲第1番変ロ長調「春」
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

74.FCM-50(M) フォンタナ(TV4343) 日本フォノグラム株式会社 1944年録音 ¥1,000
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

36.DXM-113-VC 日本コロムビア株式会社 ¥2,000
フランク:交響曲ニ短調
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

18.EAA-103 エンジェル・ベスト100 東芝音楽工業株式会社 ¥2,000
スメタナ:交響詩「モルダウ」 
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調「田園」
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

30.AA-93005B EMI Angel ¥3,000
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

17.AA-8188〜9 EMI Angel ¥4,000
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
 Sp:シュワルツコップ Cont:ヘンゲン Te:ホップ Bs:エーデルマン バイロイト祝祭合唱団
 
フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団

16.AA-93007B 1948年、1951年、1952年録音
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 
ハイドン:交響曲第94番ト長調 
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

    


170.■OC-7134-RC 日本コロムビア株式会社 フルトヴェングラーの芸術1300 1952年12月7日 ¥1,300
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 第1楽章は音色の揺れがひどい。再現部後半からプチプチいい始めるのはキズがあるからだ。これは今でも忘れない。このLPを買ってきて最初に聞いた時のことだ。1面を聞き、2面にひっくり返そうとしてプレイヤーの蓋に引っかけて落としたのだ。ショ〜〜〜ック!!
 それ以来ほとんど取り出すことのないディスクだった。今回ちゃんと聞き直してみて、そういった雑音や録音状態の不備を差し引いてもなかなかの演奏だと感心した。

 第1楽章は心の動きを見事に表現するようなテンポの動きだが、その熱さの中に理性の光を感じさせる丁寧な演奏だ。音は熱気を孕んでいるが、決して無我夢中にはならない素晴らしい音楽性が聞ける。
 第2楽章は遅い。マジョーレに入ってから少し動きが出てくるとはいえオドロオドロシイくらいだ。心に秘めていた一杯の感情を少しづつ語っていき、次第に熱弁をふるうようになる様が素晴らしい。
 第3楽章など実に純音楽的。309小節からのフルートがズレるのはご愛嬌だが、とても丁寧な音楽造りで録音が良ければさぞや美しい名演となったはずだ。
 第4楽章も良い。理性を残した情熱と即興性が素晴らしい。オケの状態も凄く良かったのではなかろうか。
 57小節目、フェルマータの小節だが、第1ヴァイオリンの4分音符の長さが1回目と2回目で明らかに違う。350小節のティンパニはトレモロに変更している。

 本当に、録音状態が今一なのが惜しい。

(2006年4月)

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169.■OC-7131〜2-BS 日本コロムビア株式会社 1953年5月31日録音 ¥2,600
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
 Sp:イルムガルト・ゼーヒリート Alt:ロゼッテ・アンダイ Te:アントン・デルモータ BsBr:パウル・シェフラー ウィーン・ジングアカデミー合唱団
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 わざとらしさの一切ない真剣勝負的演奏なのは、いつものフルトヴェングラーだ。アンサンブルの乱れも音のミスも落っこちも、その大きなスケールの精神性の一部となり、ただならぬ雰囲気造りの名わき役となるところが凄い。こういう演奏はフルヴェン&ヴィーンのコンビでなければなしえないのではと思う。質量たっぷりの情熱を持ったフルヴェンととことん本気のヴィーンフィル。

 それにしても人懐こくも強い、コクのある音色だ。低弦が実に雄弁。第1楽章の展開部とフィナーレのテーマから《B》までは特に聞き所だ。前者の歴史を刻み込むような実在感、後者の沸き上がる力強い生命感。感動!

 音は今一だ。第1・3楽章では話し声が、第4楽章では音楽が混入している。第4楽章の音楽は転写かもしれない。また、録音レベルが変化している。特に気になるのは第4楽章のバリトンソロがやたらでかいところだ。その後独唱4人になった277小節あたりからフェードアウトする感じ。テナーソロは逆に最初小さくて後から大きくなる。

 気になるところ(^^ゞ
 第1楽章:72小節のフルートかオーボエが違う音を吹く。コーダ516,520小節でオーボエはトリルの最後にターンを入れる。これは良くない。
 第3楽章:ホルンソロの前で奏者が代わるか? とにかく伸ばしの音を吹き直している。
 第4楽章:バリトンソロの手前のプレストの前207小節、4拍目でティンパニが落ちる! 結果論として絶妙に緊張感のある間が創造された。

(2006年4月)

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137.■PL-1011 フォンタナ 日本フォノグラム株式会社 1942年録音 ¥1,000
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
 Sp:ティルラ・ブリーム Alt:エリザベート・ヘンゲン Te:ペーター・アンデルス Bs:ルドルフ・ヴァツケ ブルーノ・キッテル合唱団
 フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 音に強弱の波があるという酷い録音のため、細かいところはほとんど分からない。アゴーギクとおおまかなディナーミクが分かるのみ。ティンパニのうまさと凄さも分かる。
 アダージョの弦はところどころ気持ちのこもったポルタメントまで聴かせるが、音の悪さが感動を邪魔する。警告のラッパの前のホルンは1拍はやく吹いてしまう。フィナーレ、vor Gottのフェルマータの後はそれほど間が空かない。

 しかし、この酷い音の状態で最後まで聞き通すことができるということは、フルトヴェングラーの演奏が如何に凄いかが分かるという逆説的レコード。

 もう二度と聴かないだろうな・・・。

(1998年4月)

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110.■MZ-5122 ロンドン不滅の名盤シリーズ キングレコード株式会社 1951年10月29日録音 ¥1,200
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
シューマン:交響曲第1番変ロ長調「春」
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 コリオランは悠然としたテンポの中に内燃する悲劇的なまでの情熱が凄い。音も、十分聞ける。

 「春」もほぼ同じタイプの演奏。充実した響きとフルヴェン独特の柔軟なアゴーギクが素晴らしい。しかし、弱音部やラルゲットの楽章に音に関しての不満が残るのがベートーヴェンとの違いか。それにしても第3・4楽章の抉りは凄い。

(1996年9月)

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74.■FCM-50(M) フォンタナ(TV4343) 1944年録音
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 作品55
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 最初の和音が強烈なボディ・ブローのように決まると、後はがっしりとしたフォルムの中で自由に伸び縮みする熱いフルトヴェングラーとなる。
 第1楽章・524小節のティンパニの決め方など「これが元祖だ」という感じ。コーダのアッチェレランドも凄い。バランスを考え、決め所ではしっかり抉るトランペットもヤケドしそうな位だし、スケルツォ・トリオでわずかにテンポをゆるめるウィンナ・ホルンの魅力も素敵。
 歪みっぽい録音が惜しい。A面の終りにワウ・フラッターもある。

(1992年5月)

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36.■DXM-113-VC 日本コロムビア株式会社 ¥2,000
フランク:交響曲ニ短調
 ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 如何にもフルヴェンらしいアゴーギクで粘っこく演奏してる。
 第1楽章・47小節の念を押すようなリズムなど、非常に奥深さを感じさせるがいかんせん録音が悪い。361小節などもモコモコしていて全然物足りないし、509小節のフォルティッシモなども迫力不足。
 第2・3楽章はもっと音が悪い。第3楽章・冒頭など、音が波打ってしまってテンポが分からないくらいだ。(1991年10月)

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30.■AA-93005B EMI Angel ¥3,000
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 「エロイカ」を聴き終わったあとの、この充実感はいかばかりだろう!
 最初はあまり乗っていない風だが、フルヴェンの自制の効いたアゴーギクが威力を発揮し始めると、どんどんスケールの大きな響きになっていく。第2楽章も名演!
 スケルツォのホルン、これぞウィンナホルンだ! そういえば第2楽章の3番ホルンは一人で吹いているようだ。
 フィナーレのコーダの吹き飛ばしは誰にも文句は言わせないぞという感じ。

 7番。
 これだけ鋭く、そして深く突き刺さるスフォルツァンドの連続を、緊張を途切らせることなく維持させるとは、何という感動的なフィナーレだろう! アッチェレランドに次ぐアッチェレランドが、全てを燃やし尽くすかのようだ。
 巨大な一撃で始まる第1楽章も、その感情的なテンポの揺れが曲の構成にぴったりしていて凄いが、まだまだ序の口という感じ。
 第2楽章は心の襞を一つ一つめくるような染み入るデリカシーがたまらない。特にフォルティッシモから第2主題に向かっての抑制された心が胸を打つ。
 スケルツォだけは、録音のせいか今一つの感じだ。テンポも良く、抉りの効いた低弦や決め所でのティンパニなど、聴きどころはあるが管が冴えないのはどうしたことか?

(1991年9月)

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16.■AA-93007B 1948年、1951年、1952年録音
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 1948年
ハイドン:交響曲第94番ト長調 1951年
ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 
ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 1952年録音
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 「40番」が凄い。このロマン的魅力をもつ名曲を、フルトヴェングラーらしい厳しい精神性で演奏したような感じ。
 第1楽章は凄く速いテンポで始まり、テーマもあまり歌われずフォルテも厳しい。しかし、この楽章の一番の聴きどころは、その厳しさが提示部の繰り返しと展開部によって身体中に染み込まされたあとにやって来る。再現部だ。
 管の和音の中を忍び寄る第1主題が、それまでとは別人のような女性らしい艶めかしさで奏されると、その上昇4分音符にポルタメントまでかかるのである。その後のフォルテも最初の時のオーボエの鋭い響きを抑えた柔らかなものになっている。そして、また、だんだん元の厳しさに変わっていくのである。これは見事な解釈だ!

 第2楽章はぐっと感情を抑えた単色のモーツァルトだ。それだけに提示部の終わりのリタルダントは強力で胸を打つ。

 第3楽章は古典舞曲を凌駕した精神舞曲とでも言えそうだ。実際、わざと武骨にしているようで、テーマのスラーもとられている。Trio後半、フルートとオーボエのアーティキュレーション変更も良い。

 そして死に急ぐかのような第4楽章。テーマのヴァイオリンの4分音符が、リズムが崩れる直前までに急き込んでいる。低弦の艶めかしさも不気味なくらいだ。この表現だからこそ、リピート無用であっという間に、このせっぱ詰まった40番を終わらせたに違いない。

 ハイドンは響きの立派な、ウィーンの魅力のある演奏。しかし、今一つ面白くない。

 精神美というのはこういう演奏を言うんじゃないかといったベートーヴェン。

(1991年11月)

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17.■AA-8188〜9 EMI Angel ¥4,000
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 誠に堂々たる演奏。遅いテンポで、極力そのテンポ変化を抑え、その深い響きだけで曲を語らせたようなもの。特に第2楽章冒頭のヴィオラとチェロの豊かな表情や、スケルツォのチェロ、バスの底力には身震いがするほど。とにかく弦主体の、良い響き。これでもう少し録音がよければ…。
 スケルツォ・245小節のファゴットの2拍目の音が半音高い「E」に聞こえ、少しズッコケる。

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」
 フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団

 巨大な名演。
 第1楽章・237小節からの低弦の小節の頭にアクセントをつけ、聴くものの無意識の中に不気味さを埋め込むようなところや、261、262小節のヴィオラの動きの強調など、彫りが深い。
 アダージョは一音一音をかみしめるようなゆったりした歩みが、音そのもので歌っているので心の琴線を震わす。そんな中、45小節のスビト・ピアノのような即興的表現に出会うともうたまらない。
 フィナーレの凄さは何と言ってもコーダのアッチェレランドにあるわけだが、最初のレシタティーヴォがなんて雄弁なことか! アダージョのテーマに負けそうになる部分など、涙がチョチョ切れそう。そして、歓喜のテーマが最弱音からわきあがりアッチェレランドとクレッシェンドで高らかに奏されるところは、もう最高!
 これで、音がもっと良ければ・・・。

(1991年10月)

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18.■EAA-103
スメタナ:交響詩「モルダウ」
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調「田園」
 フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

 モルダウは感動するには少々音が悪い。ニセステ。
 やや遅めのテンポで始まり『森の狩猟』前のリピートでアッチェレランドして流れ込み、『農民の踊り』で落ち着く。239小節のテーマがもどるときは速いテンポだ。
 フルヴェンらしいテンポ設定。『聖ヨハネの急流』以後の音響が整理されていて、しかも音を割ったトロンボーンが肺腑を抉る。

 田園はうきうきと愉しいというよりも、心にじわーっと染み込むような深い味わいの演奏だ。「フルヴェンのアッチェレランド」は、第2・5楽章に特徴的だが、常に理性の目が光り激しい感情は表面には出さない。そんな解釈を一層際立たせるようなウィーンフィルの管楽器のコクのある音色は、耳の御馳走だ。
 第1楽章・469小節と473小節の楽譜に無いクレッシェンドは実に音楽的で、猛烈なリタルダントで終わる第1楽章こそこの「田園」の全て!

 第1楽章「B」の2小節前でミスるホルンはフィナーレ114小節でもミスる。第3楽章冒頭の4分音符のタメは凄い。第4楽章90小節はアンサンブルが乱れている。
 このLPはニセステで、特に第2楽章の音が悪いがCD化されたものは大丈夫のようだ。

(1996年5月)
 

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