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ヘンリク・シェリング
(ポーランド→メキシコ 1918-1988)

166.PL-1028(835 331 LY) 日本フォノグラム株式会社 フィリップスアーティストギャラリー Rec.1965年 ¥1,000
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番ホ長調 BWV.1041
J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV.1043
 Vn&Cond.:ヘンリク・シェリング Vn:ペーター・リバール(BWV.1043)
 ヴィンタートゥール音楽院合奏団

167.PC1505 日本フォノグラム株式会社  ¥1,500
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲第ニ短調 Op.47
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 Op.63
 Vn:ヘンリク・シェリング
 ロジェストヴェンスキー指揮ロンドン交響楽団

    


167.■PC1505 日本フォノグラム株式会社  ¥1,500
 Vn:ヘンリク・シェリング
 ロジェストヴェンスキー指揮ロンドン交響楽団

シェリングの音色は暖かい。
懐かしい温もりを持つ音色。その音で、ひんやりしたシベリウスを美しく端正に紡いでいく。
普段、冷で飲む吟醸酒を温燗で飲んだら旨かったってか)*o*(
ロジェストヴェンスキー指揮の伴奏は抉りが効いているだけでなく、強靱で堅い楔を決め所で打ち込む。この両者のバランスがなかなかイイ。

この第1楽章のソナタ形式はずいぶん面白い。
提示部のあとのカデンツァが展開部か?
だとすると、そこに何気なく入ってくるファゴットの第1主題からが再現部ということだろう。ソナタ形式ではないとしても、幻想曲風味のこの曲にしっかりとした造型を与えていて素晴らしい。
第3楽章はA・B・A・B・コーダって感じだけど、ロンド形式とは言わないのかな?
この2回目のBで出てくるソロヴァイオリンのフラジオレット奏法部分は、空中浮遊するような不思議な感じでいつ聴いても痺れる。

プロコフィエフの特徴には、不安定な調の揺らめきと安定した調による気持ちの良い歌謡性、メロディとリズムの主導権争いなどによって、誠実さと諧謔性、叙情と情景描写、有機的なものと無機的なものといった対立要素を魅力的に交錯させる。
不思議な配合による音色は聴くものを“物語”の中へ誘うようだ。

こういったことを、改めて感じさせるのだから悪い演奏であるはずがない。
シベリウスは異端的良さだったが、こちらは正統的素晴らしさだ。シェリングは相変わらず懐かしさを伴う暖かい音色で、プロコフィエフの七変化の音楽を心底表現し尽くす。
ロジェストヴェンスキーの“無機的叙情”は全く、プロコフィエフだ。
素晴らしい!

(2006年4月)

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166.■PL-1028(835 331 LY) 日本フォノグラム株式会社 フィリップスアーティストギャラリー
 Vn&Cond.:ヘンリク・シェリング Vn:ペーター・リバール(BWV.1043)
 ヴィンタートゥール音楽院合奏団

 どれもオーソドックスな名演。やや鳴りすぎといえそうなくらい立派。好みで言えば、もっと繊細で生身の響きのバッハがイイ。言ってみれば、これは自分とは無関係の遠くにある名演という感じだ。バッハとはひざを交えて対峙したい。

 曲はどれも親しみやすい名曲だが、たとえばBWV1043の第2楽章などこの演奏だと真面目過ぎで飽きる。最高の滴るような美音とくすぐるような弱音で囁くように演奏されたものを聴いてみたい。それでもBWV1042は、その立派な響きがよく似合い、明暗の対比も美しく演奏家の真面目な人柄が滲み出てきちゃうような演奏。

 BWV1042の第1,第2楽章、BWV1041の第1楽章はともかく魅力的な音楽だ。

(2005年11月)

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