ブルーノ・ワルター
(1876.9.15-1962.2.17 ドイツ→アメリカ)

…名演 …駄演 …奇演

*レコード番号をクリックして下さい。

158.SOCF-125 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 ¥1,200
ミラベルの庭園にて
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジークト長調K525、メヌエットへ長調K599-5、メヌエットハ長調K568-13、三つのドイツ舞曲K605、フリーメイソンのための葬送音楽K477、歌劇「魔笛」序曲K620、歌劇「フィガロの結婚」序曲K492、歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」序曲K588、歌劇「劇場支配人」序曲K486
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

150.OZ-7509-BS 不滅の名演奏家シリーズ 日本コロムビア株式会社 Rec.1957、1951 ¥2,000
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「エロイカ」
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
 ブルーノ・ワルター/シンフォニー・オブ・ジ・エアー 

120.SOCO-110 株式会社CBS・ソニー ¥2,500
モーツァルト:交響曲第40番ト短調
モーツァルト:交響曲第25番ト短調
 ブルーノ・ワルター/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

117.SOCF-126 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 ¥1,200
J.シュトラウス名演集
J.シュトラウス:美しく青きドナウOp.314、ウィーンの森の物語Op.325、皇帝円舞曲Op.437、ウィーン気質Op.354、「ジプシー男爵」序曲、「こうもり」序曲
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

113.SOCF-132 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 ¥1,000
ブラームス:ドイツ・レクイエム
 BsBr.:ジョージ・ロンドン Sp.:イルムガルト・ゼーフリート
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック、ウェストミンスター合唱団

101.SOCF-109 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 1954年、1953年録音 ¥1,000
ハイドン:交響曲第96番ニ長調「奇蹟」
ハイドン:交響曲第102番変ロ長調
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

84.SOCL84 CBS・ソニーレコード株式会社 ¥2,000
マーラー:交響曲第1番ニ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

82.SOCF-111 CBS SONY ワルター不滅の1000 ¥1,000
モーツァルト:交響曲第36番ハ長調「リンツ」
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

81.SOCF-110 CBS SONY ワルター不滅の1000 ¥1,000
モーツァルト:交響曲第40番ト短調
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

76.SOCF-123 CBS SONY ワルター不滅の1000 ¥1,000
マーラー:交響曲第5番ハ短調
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

73.SOCF-118 CBS SONY ワルター不滅の1000 ¥1,000
ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ブラームス:大学祝典序曲作品80
ブラームス:ハンガリー舞曲第1,3,10,17番
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

62.SONC-10462〜3 CBS SONY
マーラー:交響曲第9番ハ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

44.■SONC-10456 CBS SONY ¥2,000
マーラー:「大地の歌」
 Ms.ミルドレッド・ミラー Te.エルンスト・ヘフリーガー
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック 

37.SONC-10457 CBS SONY ¥2,000
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

32.SONS-30195-6 CBSソニー ¥3,000
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団 
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調
 ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団

31.SONC-10111 CBS SONY ¥2,000
シューベルト:交響曲第9番ハ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

19.MZ-5013 キングレコード株式会社 ロンドン不滅の名盤シリーズ ¥1,200
マーラー:大地の歌
 Cont.フェリアー Te.パツァーク
 ワルター/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

    


158.
■SOCF-125 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 ¥1,200
ミラベルの庭園にて
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク、メヌエットへ長調K599-5、メヌエットハ長調K568-13、三つのドイツ舞曲K605、フリーメイソンのための葬送音楽K477、歌劇「魔笛」序曲K620、歌劇「フィガロの結婚」序曲K492、歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」序曲K588、歌劇「劇場支配人」序曲K486
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

 全て厳しい造形による男性的な迫力が前面に出た演奏。
 アイネクライネは実にシンフォニックな第1楽章で始まる。遅いテンポでタップリ歌う第2楽章、中間部でテンポをやや速め、立派な主部との対比を見事に表現した第3楽章が続き、愉悦的なものよりも真摯な印象を与えるフィナーレで締めくくられる。
 K599-5はなかなかチャーミングなメヌエットだ。K568-13はスケールが大きく堂々としたなかに陰りのある和音が響き、耳をそばだてさせる。
 三つのドイツ舞曲はまじめで立派な演奏。第1番ニ長調の上向ポルタメントも清潔だし、第3番ハ長調は絶妙なルバートと鈴が美しい。
 ドン・ジョバンニの音楽につながりそうな深味のあるK477は、端正な中にドロドロした心の動きを感じさせるような叙情的な曲であり、気持ちのこもった演奏だ。
 遅めの序奏部と速めの主部による「魔笛」は普通の出来だな。「フィガロ」は素晴らしい。特に第2主題の絶妙なテンポの落とし具合とコーダの引き締まったアッチェレランドは感動的だ。「コシ」も無駄の無い名演。
 「劇場支配人」はなかなか凄い演奏だ。まるで、トスカニーニばりの推進力とフルヴェンばりの情熱で邁進するようだ。

(2004年12月)

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150.■OZ-7509-BS 不滅の名演奏家シリーズ 日本コロムビア株式会社 Rec.1957、1951 ¥2,000
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「エロイカ」
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
 ブルーノ・ワルター/シンフォニー・オブ・ジ・エアー 

 「エロイカ」は力瘤った名演。
 頂点の直前のリタルダンドや容赦ない強音が、やや速めの基本テンポで表現されるため力演という印象を受ける。しかし、ライヴとは思えないほどのアンサンブルの精度の高さと表現力の大きさには驚愕する。強靱な響きの弦を主体とした音色のバランスも、実に良く考えられたものなのだ。そう、全て計算され尽くして成り立っている演奏なのだ。にもかかわらず、これだけ熱く、しかも完成度が高いのは本当に凄い!

 強弱の自在な変更は枚挙に暇がないくらいだ。第1楽章・448小節、655小節からのチェロにホルンを重ねている。第2楽章・Dからのホルンは木管と同じに変更。第4楽章・282小節の2nd.Vnのリズムがヘン。

 「フィガロ」も名演。見事なバランスで木管を生かし弦は良く歌う。テンポ変化も巧みだ。終結の熱気を帯びたアッチェレランドの中にもしっかりバランスがとられ、美しく決まる。

(2002年9月)

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120.■SOCO-110 株式会社CBS・ソニー ¥2,500
モーツァルト:交響曲第40番ト短調
モーツァルト:交響曲第25番ト短調
 ブルーノ・ワルター/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 上向ポルタメントが柔らかくも強い音色で奏されると慟哭が表出される。歌に満ちた寂寥と慟哭の第1楽章。そして、自在感を伴った動的な第2楽章も絶品だ。ウィーンの甘く、しかし強い音色を最大限に生かし、最高のリズム感で演奏されるメヌエットとフィナーレ。ワルターのうなり声まで聞えるが、このきりりと引締った美演を女性的な名演とは呼べまい。

 第25盤も名演だ。とても厳しい名演。
 第1楽章はシンコペーションのリズムがもっとクッキリ欲しい気もするが、自在なアゴーギクが凄く、ホルン強奏が効く。ウィーンの弦が美しい第2楽章に堂々たるメヌエット、そして第1楽章の表現をさらに徹底させたようなフィナーレが続く。
 頻繁に交替するテンポとホルンの強奏。こ、これは凄い!

 ワルター/ウィーン・フィル、ナマで聴いてみたかった!!

(1996年10月)

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117.■SOCF-126 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 ¥1,200
J.シュトラウス名演集
J.シュトラウス:美しく青きドナウOp.314、ウィーンの森の物語Op.325、皇帝円舞曲Op.437、ウィーン気質Op.354、「ジプシー男爵」序曲、「こうもり」序曲
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

 ウィンナ・リズムなど刻まなくても素敵な曲なんだよ、といってる。ウィンナ・ワルツ独特の粘りも極力おさえ、アッサリ流れる。しかし、逆にそれが見通しの良い構成感を与え、充分な歌と相俟って単なる娯楽音楽としてのウィンナ・ワルツを超えた名曲とさせている。

 ウィーンの森の物語のトランペットのヴィブラートはいただけないが、冒頭のホルンはとてもいい雰囲気で、ツィターもうまい。
 ジプシー男爵は冒頭の弦のリズムに細工がある。
 こうもりは、必要以上のテンポ変化を避けてウィンナ・リズムも勿論刻まないが、決め所は実に巧く決める。

 楽器のバランスも良く、深く愉しく味わえる。録音もまずまずだ。

(1996年10月)

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113.
■SOCF-132 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 ¥1,000
ブラームス:ドイツ・レクイエム
 BsBr.:ジョージ・ロンドン Sp.:イルムガルト・ゼーフリート
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック、ウェストミンスター合唱団

 このLP、いや、この曲を聴くのは3回目くらいではなかろうか? はじめてこの曲を聴いたときの退屈さは感じないものの、20年近く前に感じたその気持ちは理解出来そう。
 今は、退屈することはないものの、渋さを感じる。特に前半三楽章は暗く渋い。第4・5楽章で少し肩の荷が下りるが、味わい深いとはいえやはり渋い。第6楽章になるとやっと情熱の発露がある。
 ワルターの指揮ぶりは曲の進行どうり、静から動へのアナログ的移行がスムーズにドラマティックになっていく。第7楽章でまた渋くなるが、演奏は中に熱を帯びている。
 ロンドンは好きでないなあ。ゼーフリートはまあまあ。
 録音がよくないので響きの見通しが悪く、特に合唱団の発音が全くわからず惜しい。最新のデジタル録音で聴けば、もっと面白く聴けるか!? 第5・6・7楽章は時々聴いてもいいな。

(1996年9月)

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101.■SOCF-109 株式会社CBS・ソニー ワルター不滅の1000 1954年、1953年録音 ¥1,000
ハイドン:交響曲第96番ニ長調「奇蹟」
ハイドン:交響曲第102番変ロ長調
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

 96番は、しっかりとした造型の中にチャーミングなテンポ感が漂う。そうだ! ワルターのリズム感は一級品だっけ。良いテンポが良いリズムを生む。
 メヌエット、トリオは最高。オーボエのチャーミングなこと。そして68小節・3拍目から上品に重ねるトランペットの素敵なこと。
 ただし、音色にワウフラッターがあり、弱音部はあまりよくない。

 102番。
 音を割ったホルンが抉りを効かせ、スケールの大きな生命感をはじかせるメヌエットは聴きものだ。
 全体に重量級の生命感が愉しい演奏。音の良いステレオなら感動したろうに…。

(1996年5月)

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84.■SOCL84 CBS・ソニーレコード株式会社 ¥2,000
マーラー:交響曲第1番ニ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

 マーラー独特のドロドロしたものをちゃんと表現しながらも、決して濁らせず、古典的とも言えそうなスッキリした造型にはめ込んだ超名演。スゴイ!

(1992年6月)

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82.
■SOCF-111 CBS SONY ワルター不滅の1000 ¥1,000
モーツァルト:交響曲第36番ハ長調「リンツ」
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

 36番。
 楽譜に捕らわれない変幻自在な歌が自然な呼吸を伴っているため、そのたっぷりとした歌が全く生きているよう。本当にたっぷりとしたメヌエットは上品で抱きしめたくなるくらい。

 39番。
 これは、もう最高!!
 男性的迫力、歌、女性的デリカシイ、情熱、生命、全てを備えフィナーレのテーマ(天才的・奇跡的ルフトパウゼ!)のごとく即興性を持つのだ。
 第2楽章の音がややおかしいのが悔しい。

 ワルターのモーツァルトを続けて4曲聴くと、あつーいメッセージが伝わってくる。人間モーツァルトの心が・・・。

(1992年6月)

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81.■SOCF-110 CBS SONY ワルター不滅の1000 ¥1,000
モーツァルト:交響曲第40番ト短調
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

 40番。
 テーマにごく自然な強弱がつけられとても豊かな歌が溢れる。テンポの揺れもかなりあるのに造型が全く崩れないのは流石だ。心を込めて繊細に表情を付けていき、これ以上やると神経質になるか弛れるかという手前で、しっかり命が吹き込まれる。特に前半2楽章が素晴らしい。
 クラリネットあり版。

 41番。
 まず、その男性的な迫力に驚かされる。
 ティンパニ、トランペットの鋭いリズムの抉りなど、アーノンクールもかくやという感じ。その中に、自在なテンポによる歌が存在するから凄い。
 第2楽章も超名演!
 20小節からの頭を欠いた3連音のヴァイオリンなど、まるで慟哭のようだし、その後27小節のヴァイオリンとオーボエの32分音符がなんて優しく奏されることか。まるで、ドラマでも見ているよう。心の移り変わりが刻々と描写されている感じ。73-74小節など「ドン・ジョバンニ」を思い起こす。
 メヌエットとフィナーレも名演だ。
 ワルターが秘術を使い尽くして築きあげた「ジュピター」がそこにある。数え上げればキリがないが、フィナーレ・50小節からのコントラバスの強調や、必要なところでの“間”、そしてとどめは388小節からのファゴットとコントラバスによる基本テーマに重ねられたホルン・・・ああ、凄い。

(1992年6月)

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76.■SOCF-123 CBS SONY ワルター不滅の1000 ¥1,000
マーラー:交響曲第5番ハ短調
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

 リズム感の良さによる流れの自然さが堂に入っている。そして、その“変”に粘らない流れにはワルターの歌が満ちている。響きも整理されており、決してうるさくならないところなど流石だ。
 しかし、この曲を愉しむには音が古くなりすぎた。もっと音が良ければなあ・・・。

(1992年6月)

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73.
■SOCF-118 
ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ブラームス:大学祝典序曲作品80
ブラームス:ハンガリー舞曲第1,3,10,17番
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

 交響曲第2番は、オケがワルターの意図に厚い響きで充分に答えており、自然な流れの中に実に深い味わいがある。音量も響きもテンポも見事に統制されており、それが当たり前に聞えるところが凄い。
 例えば第1楽章435,436小節の3拍目のアクセントがしっかり生きているなど、細部にも注意が行き届いている。そして、爆発的な前進性を持ったフィナーレは火の玉のようなワルターの情熱が完璧に音化され、しかも少しの踏み外しもなく燃焼しているのだ。それが証拠に、猛烈なアッチェレランドのコーダの中に絶妙なタイミングで休符に“間”を加えているのだ。それは408,412小節。これには参った。
 惜しむらくは録音が今一つなこと。初期盤とやらなら良い音がするのだろうか?

 大学祝典序曲もなかなかの名演。ハンガリー舞曲は第3番が良い。

(1992年5月)

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62.■SONC-10462〜3 CBS SONY
マーラー:交響曲第9番ハ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

 春の日差しを浴びながら昔話をしているような、とても暖かい演奏。
 各楽器の有機的な絡みや浮き沈みなど、ワルターの音楽性によって実に音楽的に生きている。鋭いフォルティッシモから密やかなピアニッシモまで本当に意味深いのだが、基本の遅いテンポが、その暖かさを助長する。アッチェレランドなど殆ど無いので「肺腑を抉る」とか「絶叫」「熾烈」といった表現は当てはまらない。オケ全体の音色の明るさもその表現に輪をかけている。
 これをもってして、生ぬるいとは言いたくない。別の視点から解釈した演奏と評価したい。ゆえに第2・3楽章は秀逸。第4楽章だけはやや早めのワルターテンポだ。即ち、速い部分は遅めに、遅い部分は早めに設定し、音楽の流れをよくし造型的な見通しをはっきりさせている。これにより「明るく暖かく有機的な懐かしむ音楽」が完成している。この楽章、73小節から106小節までなど、涙が出るほど“懐かしい”。

(1992年1月)

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44.■SONC-10456 CBS SONY ¥2,000
マーラー:「大地の歌」
 Ms.ミルドレッド・ミラー Te.エルンスト・ヘフリーガー
 ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック 

 第1楽章を聴き始めると、やや浅く明るすぎる響きが気になるが、聴き進むうちにそんなことを忘れさせる名演。
 熾烈な弦も、ホルン、トランペット、トロンボーンの絶叫も、優しくまた怪鳥のようなオーボエ、クラリネットの響きも、楽器の音とは思えないような気もしてくる。
 ミラーがうまい。ヘフリーガーは少し気合いが入り過ぎって感じ。

(1991年11月)

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37.■SONC-10457 CBS SONY ¥2,000
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

 オケの人数が少ないのか、響きが薄っぺらなのが欠点だがそれを補って余りあるほどの熱演ぶりが聴ける。金管のフォルティッシモは全然うるさくならないし、オーボエを筆頭とする木管の素朴な瑞々しさはとても魅力的。全てがしっかり弾いている感じなので薄い響きにも関わらず、充実感があるのだろう。
 第1楽章・169小節の低弦のpppにアクセントを効かせたり、第2楽章のポルタメントさえかかるチェロの歌、そしてブルックナーの散歩のようなテンポアゴーギクが本当に愉しい。愉しいといえば、ワルターのリズム感のよさが最大限に生かされたスケルツォは最高!
 フィナーレは流石にややスケールが小さいが、前述の良さはいっぱいだ。
 とにかくホルン、トランペットの強奏と弦に弓がぶつかる音まで聞こえる程の響きが汚くならないのがいい。決め所では、巨大な岩山がいきなり眼前に聳え立つような感じすら受ける。

 なお、第2楽章・Mの1小節前の1拍目にもピチカートがある。スケルツォ・CやLの前のホルンに16分音符を吹かせているようだ。トリオはクラリネットとフルートがメロディを吹く。また、フィナーレの最後はホルン、トランペットが第1楽章のテーマを吹かない。

(1991年10月)

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32.■SONS-30195-6 CBSソニー ¥3,000
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

 第2楽章にもう少し厚みというか、音色の深みが欲しいというほかは、ほとんど完璧な演奏と言えるんじゃなかろうか。
 テンポが自然で、心底「田園」を味わえるのだが、細かな聴きどころが多いのも魅力だ。
 例えば第1楽章、木管とホルンによる6連符がなんてセンス抜群のリズム感で奏されたことか。そして96小節や103小節の休符の間の良さ! 第3楽章の生きたリズムと弦のスフォルツァンドの迫力。フィナーレ第2主題のテヌートからその後16分音符のスタッカートまでテヌートにする自在さ。そして決して硬直しないテンポと、例の弦のキザミの漸強弱などなど・・・。
 ワルター大好き、と言いたくなる。

(1991年10月) 

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31.
シューベルト:交響曲第9番ハ長調
 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

 いろいろ聴きどころのある名演。
 まず、木管の生かし方のチャーミングなこと、そしてホルンとティンパニの意味深い強奏強打。自然な息遣いに沿ったテンポ変化の妙とあたたかい歌、そして凄いリズム。こういう演奏に触れると、心の故郷に帰ったような幸せなあたたかい感動に浸れる。
 第1楽章は弦の新鮮さに、まずハッとさせられ木管と弦の織りなすパノラマにティンパニやトランペットが濃い味付けをする。例えば58・630小節の決め。662小節からは楽譜に無いトランペットも吹かせている。そしてAndante-Allegro ma non troppo-Piu motoというテンポ変化の上手さが光る。
 第2楽章の歌はワルターの独壇場だ。リズムの冴えも一層磨きがかかる。そのリズムは、スケルツォとフィナーレは驚異的。
 スケルツォ・15小節と16小節の絶妙な「間」は数回現れるが、実に洒落た遊びという感じで天才的。
 良いテンポがとれるということは、やはりリズム感が良いということだ。

 ホルンを木管と重ねたり、トランペットのリズムを変えたり、いろいろ楽譜をいじっているが、それにより演奏効果も上がっていると感じた。

 それにしても、あの同じリズムの繰り返しとG.P.。ブルックナーの原点を聴く思いがした。

(1991年10月)

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19.MZ-5013
マーラー:大地の歌 
 Cont.フェリアー Te.パツァーク ワルター/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 ウィーンフィルの魅力が、ワルターのマーラーに対する共感の深さとうまさによって、全て同化してしまったかのような名演。クライマックスや最弱音の部分が雄弁であったり、聴き手に思考を要求したりするのは当然として、なんてことない経過句のようなところでも楽器の音が人の呟きの如くものを言うのが凄い。そうかといって、理屈っぽさは皆無で音楽的。
 パツァークがうまい。特に第3楽章の飄々とした味わいは、その音楽だけで「大地の歌」の虚無感を表現してしまった。
 フェリアーは、篭ったヴィブラートが僕の嫌いなタイプだが「告別」における心の込め方には涙を誘われるくらいだ。

 なお、第3楽章・62小節のウラの8分音符が無いのは編集ミスなのだろうか? 聴いていてつまずく。また、第6楽章・356小節目でホルンがかなり派手にミスる。

(1991年11月)

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