1978年6月30日
虎の門ホール
モーツァルト:幻想曲ハ短調K.475 ソナタハ短調K.457
シューベルト:即興曲作品142から変イ長調,変ロ長調,ヘ短調
バルトーク:15のハンガリー農民歌と舞曲
ベートーヴェン:ソナタ第21番ハ長調作品52「ワルトシュタイン」
今日のクラウスは絶好調だ。
なんという即興性。微妙なテンポの揺れに伴うデリケートなニュアンスの変化、匂うような弱音に決してわめき立てない強音。これらが堅固な造形によって支えられているので、決して軟弱にはならないのだ。
チェリビダッケに言えたように、クラウスの即興的なテンポ変化や強弱、すなわちアゴーギク、ディナーミクは「自然」なのだ!
今日の演奏全てに最高の賛辞を与えても惜しくはない。あの即興曲の美しさと、ただただ呆気にとられて聴いたワルトシュタインの生命感は、忘れられないものとなるだろう。
花束を抱いてお辞儀をするクラウスの姿があまりに美しく、また感動。
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