1975年3月11日(火)
東京文化会館小ホール
僕は今日から合唱曲を好きになった! 今までに何回か合唱のコンサートは聴いたけれど、今日ほど感動したことはなかった。女声合唱がこんなに美しいとは・・・。
特に良かったのは「合歓の花」「石臼の歌」「犀川」で、全て弱音がとても綺麗。「合歓の花」の『声には立たぬあれは昔の…』の部分など、触れたら壊れそうなくらいの美しさだ。 「ぶらんこ」「菜の花」も上質の愉しさだ。 「月と良寛」ではバリトンの池田温の語り口も雄弁で、合唱の愉しさがいっぱいだった。 しかし、これらに感動しながらも心密かに期待していたのは、やはり「ハレルヤ」だった。 最初は非常に遅いテンポで、もっと躍動感が欲しいような気がしたが不満足というわけではなく、美しさにおいては抜群だった。そして、曲の途中からアッチェレランドし、クライマックスとなってゆく部分にいたっては、前半の遅いテンポが理解でき、終結の非常に長いフェルマータの気持ちは強く訴えるものが伝わってきた。全く素晴らしい名解釈。 去年NHK交響楽団の演奏会でひどくがっかりしたばかりだったので、今日の素晴らしいリサイタルはいっそう極上のものに思えた。
1992年4月9日
サントリーホール
最弱音を無視し、金管はトランペットを抑え気味にして重心の低い響きを作り、テンポは、まあオーソドックスだ。アゴーギクも常識の範囲内でなされた。名演と言ってよいだろう。 ベートーヴェンの1番の時に聴かせた、ホルンの吹き伸ばしの最強奏はスケルツォに有り、圧倒的。 但し全体的に、神に到達するかのような突き抜けたブルックナートーンにならないため、朝比奈やヴァントの響きが恋しくなる。
1995年10月5日
東京芸術劇場
編成を小さくした2番はフォルテがティンパニのみで形成されている感じで、今一つのでき。 「田園」は宇野さんの表現がツボにはまった名演。 但し、フィナーレの最後はあまりの遅いテンポにホルンが数え間違えたのが御愛嬌だが、その緊張感は凄かった。
しかし、言い訳をしてそこを録音しなおすに至っては、辟易するどころか聴衆無視の自己満足で最悪!!
この演奏会の感想を送ってから、宇野さんとは音信不通です。